(※本稿はAIとの対話による自動生成テキストです。筆者は「一文も書かない」制約を課し、語句の最終調整のみを実施しました。)
構造生物学の研究とは、極微の自然が仕掛けた「謎解き」の連続です。しかし時折、自然は私たちにひどく残酷で、かつユーモアに満ちたイタズラを仕掛けてくることがあります。
先日、共同研究者から一通のメールが届きました。私も構造決定を分担し、一緒に長年苦労して解析を進めていた「ある酵素」の結晶構造がついにSAD(単波長異常分散法)で解けた、という報告でした。しかし、そのメールには重苦しい続きがありました。
苦労の末に得られたその美しい結晶の正体は、目的の酵素ではなく、なんと精製過程で混入した「全く別のコンタミ(不純物)タンパク質」だったというのです。
この界隈では時折耳にする「コンタミの悲劇」ですが、このメールを読んだ瞬間、私はただ同情するだけでなく、かつて自分が学生時代から10年以上も抱え込んでいた、ある「未解決ミステリー」の記憶が鮮明にフラッシュバックしていました。
消える結晶と、騙し絵のようなデータ
時計の針を1990年代、私がまだ学生だった頃に戻します。
当時、私は「ある好熱菌の酵素」の結晶化と構造解析に取り組んでいました。
実は、この酵素の精製条件と結晶化条件はすでに研究室の先輩が見つけ出しており、私が最初に行った実験でも、無事にその再現に成功しました。「自分の腕が先輩より劣っているわけではないんだ」と、当時はほっと胸をなでおろしたものです。
しかし、その後、実験は奇妙な迷宮に入り込みます。
何度もタンパク質を精製し直すうち、結晶が出ることもあれば、全く出ないことも起き始めたのです。今になって振り返ると、本当に恐ろしい(そして皮肉な)事実に気づきます。「精製の腕がさらに上がり、純度が高くなればなるほど、逆に結晶が出なくなっていった」のです。最終的に、私が顕微鏡で覗き込む結晶化プレートの液滴(ハンギングドロップ)の中から、結晶は完全に姿を消してしまいました。
運良く得られていた結晶のX線回折データも、まるで騙し絵のようでした。Twin detection(双晶判定)のグラフを描くと、「普通以上にtwinではない」という異常な波形を示します。ネイティブパターソン図には大きなピークがあり、Pseudo-translation(偽並進)が存在していることは明らかでした。空間群はC2なのか、それともR32なのか。分子置換で簡単に解けるはずのデータなのに、どうやっても解けない。
結局、その構造は謎のまま、時間だけが過ぎていきました。もっとも、並行して進めていた他の複数の酵素の構造解析は順調に成功したため、この一件が致命傷になることはなく、無事に博士の学位を取得して大学院を修了することはできたのですが、心のどこかにずっと引っ掛かる「棘」のようにはなっていました。
10年後の真実と「なんと」という呟き
それから10年以上が経過したある日のこと。
当時、私は他の研究手法を主軸に据えていたため、数年間ほど構造決定から離れていました。しかし、そろそろ解析を再開する予定があったため、最新の解析プログラムを立ち上げて準備を進めていたところでした。
プログラムの動作確認も兼ねて、昔の「あの好熱菌の酵素」のネイティブデータと水銀誘導体のデータを引っ張り出してきました。最新バージョンの解析ソフト(autoSHARP)にデータを読ませてSIR(重原子同型置換法)を走らせてみると……あっさりと位相が決まってしまったのです。主鎖も大部分が自動でトレースされました。
「ついに解けた!」
10年越しのブレイクスルーに歓喜したのも束の間、組み上がった主鎖の構造は、標的であるはずの酵素の予測モデルと全くフィットしませんでした。
不審に思い、得られた主鎖構造を立体構造データベース「DALI Server」に投げて検索をかけました。
画面に表示された検索結果を見た瞬間、私は思わず「なんと……」と呟いていました。
そこに記されていたのは、「大腸菌由来のinorganic pyrophosphatase(無機ピロホスファターゼ)」。
発現の宿主として使った大腸菌のタンパク質でした。「まあ、大腸菌を使ったんだからあり得る話だな」と妙にすんなり受け入れている自分がいました。
点と点が繋がった瞬間です。なぜ、先輩の条件を再現した後に、精製の腕が上がるほど結晶が出なくなったのか?
答えは簡単です。私がカバーガラスの液滴の中で苦労して育てていたのは目的の酵素ではなく、微量に混入していた大腸菌のコンタミタンパク質だったからです。精製技術が上達し、不純物を完全に取り除けるようになった結果、皮肉にも「結晶の元」を自らの手で捨てていたわけです。
世界中にいた「戦友」たち
さっそく論文を検索してみると、この大腸菌のinorganic pyrophosphataseが、いかに「たちの悪い」トラップであるかが分かりました。精製タンパク質内に痕跡レベルしか存在していなくても、ターゲットより優先して美しく結晶化してしまうのです。
私と同じように騙された研究者は世界中にいました。あるグループは別のタンパク質だと思い込んで論文を発表してしまい、後になって「実は大腸菌のコンタミでした」と痛恨の撤回(Erratum)を出していました。また別のグループは、私と同じように空間群C2で悩み抜き、最終的にPDB(タンパク質構造データバンク)に「SERENDIPITY IN PROTEIN CRYSTALLIZATION(タンパク質結晶化におけるセレンディピティ)」という自嘲気味なタイトルのデータを登録していました。
10年越しの謎が解けた後、私は当時の恩師や研究室の先輩に「あの結晶、実は大腸菌のコンタミでした」と報告して回りました。
論文にはならない「謎解き」の供養として
研究者という生き物は因果なもので、ずっと追い求めていたメカニズム(なぜ分子置換で解けなかったのか)が判明すると、結果がどうあれ心の底からスッキリしてしまうものです。謎が解けたこと自体には、とても満足しています。
しかし、相手が「既知のコンタミ」である以上、そこに新規性はなく、学術論文として発表することはできません。真相が分かってスッキリした気持ちと、形に残せない徒労感。このアンビバレントな感情の行き場として、せめてこのブログに書き残し、闇に葬られるはずだったデータたちの供養にしたいと思います。
読者の皆さんの周りにも、研究に限らず「ずっと理由がわからなかった出来事の真相が、ある日突然、思わぬ形(ちょっと笑える形)で判明した」というようなミステリー体験はありませんか?
もしそんな面白いお話があれば、ぜひこっそり教えてください。
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